債務整理と関連して言われることの多いブラックリスト。
言葉のインパクトが強いので定着していますが、債務整理に関してブラックリストという言葉はないです。
信用情報の中で、事故情報の部分のことを、俗にブラックリストと呼ぶことはあるようですが。
信用情報とは、個人信用情報機関が管理している情報のことです。そこには、クレジットカードやキャッシングの契約状況、借入・返済などの取引状況などが記載されています。
日本には、個人信用情報機関は以下の3つの機関があり、それぞれの機関には、クレジットカード会社や銀行、消費者金融といった会社が加盟しています。
日本信用情報機構(JICC)(https://www.jicc.co.jp/index.html)
:消費者金融やクレジットカード会社が加盟
シーアイシー(CIC)(https://www.cic.co.jp/index.html)
:信販会社やクレジットカード会社が加盟
全国銀行個人信用情報センター(KSC)(https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/)
:銀行や信用金庫、信用保証協会などが加盟
では、どういう場合に、それらの個人信用情報機関に名前が載るのか。
はっきり言って、クレジットカードを作ったり、住宅ローンを組んだりした時点から、信用情報は記載されています。
その中に、債務整理したり、返済が滞ったりした情報も載ってくるわけです。
ですから、厳密には、債務整理をしたから、名前が載るわけではありません。
カードやローンの支払いの状況をカード会社や金融機関などが見て、カードを発行するか、ローンの申し込みを受けるのか、決めるわけです。
ですから、最初に書いたように、ブラックリストというモノは存在しません。
ただ、債務整理をすると、その情報も記載されるので、カードを新規に作ろうとしたり、ローンを組もうとしたりした時に、支障が出るのは事実。
また、意外なところでいうと、スマホの支払いで滞納があった場合も、事故情報として、記載されます。というのも、スマホの月々の支払いには、利用料金と端末料金が併せて請求されているケースがほとんど。
なので、スマホの月々の支払に滞納があると、それも信用情報として記載されるので、注意が必要です。
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では、債務整理をすると、どれくらいの期間、そういった情報が記載されているのか。
債務整理の種類と信用情報機関にもよりますが、以下のようになっています。
日本信用情報機構(JICC)
自己破産:5年
個人再生:5年
任意整理:5年※
※契約日2019/9/30以前の場合、
・当該事実の発生日から5年を超えない期間
(ただし、債権譲渡の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年を超えない期間)
・契約日2019/10/1以降の場合、
契約継続中及び契約終了後5年以内
(ただし、債権譲渡の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年以内)
シーアイシー(CIC)
自己破産:5年※2(破産の場合は免責許可決定が確認できた会員会社によるコメントが登録された報告日から、5年)
※2 https://www.cic.co.jp/faq/detail/cre/cre01/002585.html によると、
「当社では、官報情報(官報に公告された内容を表す情報)は平成21年4月1日より収集・保有を中止しており、現在保有いたしておりません。
また、当社で保有するクレジット情報の保有期間は、契約中および契約終了から5年間です。したがいまして、破産の場合は免責許可決定が確認できた会員会社によるコメントが登録された報告日が起算点ということになります。」と書かれています。
個人再生:載らない※3
任意整理:載らない※3
※3 https://www.cic.co.jp/faq/detail/cre/cre01/002586.html によると、
「特定調停や民事再生の申請および債務整理を依頼した事実に関するコメントは登録されません。
CICに登録される信用情報は、消費者と当社の加盟会員であるクレジット会社等とのクレジットやローン取引に係わる申込内容や契約内容、支払状況などの客観的事実に限ります。また、CICに登録される信用情報には過払い金返還請求や、弁護士等が介入した旨をコメントするような登録項目はありません。」と書かれています。
全国銀行個人信用情報センター(KSC)
自己破産:10年
個人再生:10年
任意整理:5年未満※4
※4 任意整理に関する記述はありませんが、https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/privacy/ には、3.個人情報の利用目的について に、取引情報の登録期間について「契約期間中および契約終了日(完済していない場合は完済日)から5年を超えない期間」と書かれています。
そして、ブラックリストに記載された際の影響としては、
・クレジットカードを新規に作れなくなる。
・ローンやキャッシングといった新たな借り入れができなくなる。
・奨学金などの保証人になれなくなる。
・賃貸住宅の契約ができない場合がある。
上記の中で一番困るのは、奨学金の保証人と賃貸住宅の契約でしょうか?
しかし、奨学金の保証人は、債務整理している本人でなければ、配偶者などでも可能です。
ほかには、日本学生支援機構の奨学金には、保証機関が連帯保証を行う「機関保証」という制度があります。この制度を利用すれば、家族が保証人にならなくても、奨学金を借りることができます。
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/oyakudachi/document/kikan_hosho/index.html 参照
あと、スマホの購入も分割での購入はできなくなります。
先ほども少し触れましたが、スマホの月々の支払いには、端末料金も含まれています。ですので、新規にスマホを購入するのであれば、旧機種にして一括払いにするか、格安スマホなどにする必要が出てきます。
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このように書くと、債務整理しないほうがメリットがあるように思うかもしれません。
しかし、信用情報に記載されているのは客観的な事実。そして、事故情報が記載されているからといって、そのままにしていても、借金がなくなるわけではありません。
むしろ、債務整理しないままでいることは、先ほど書いたカードを取得できないとか、ローンを組めないといった生活を強いられることになります。それがエスカレートすると、債権者から、強制執行による法的な差し押さえとなってしまう可能性も出てきます。
そうなったら、自己破産しか選択の余地がなくなります。
そうなる前に、任意整理や個人再生といった、ほかの方法を選べるうちに、債務整理したほうが良いのではないでしょうか?